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■「クロニクル」

 2010年9月29日、コーエーテクモは任天堂カンファレンス2010において、ニンテンドー3DSソフト「戦国無双 Chronicle」の発売を発表。同タイトルは2011年2月26日に発売された。
 一方、カプコンの小林裕幸氏は2011年1月3日に行われた戦国BASARAシリーズのファンイベントにおいて、PSPソフト「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」の発売を発表。2009年に発売された「戦国BASARA バトルヒーローズ」の続編であるが、この時点ではジャンルが「(前作同様)チームバトルアクション」「ほとんど開発が進んでいない」「2011年夏発売予定」と伝えられた。発売は同年7月21日。

【3DS「戦国無双 Chronicle」に対する評価】
 主人公であるオリジナル無双武将が戦国時代の有名な合戦を年代順に体験していくというゲーム内容なので、「Chronicle(年代記)」のタイトルが採用されている。最初のステージは河越夜戦(1546年)、最後のステージは大坂夏の陣(1615年)となっている。
 二画面タッチパネルを利用したスムーズな武将切り替えシステムが好評を博し、3DSのロンチタイトルにもかかわらず、近年の戦国無双シリーズの中では非常に評価が高い。

【PSP「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」に対する評価】
 2までの天下統一モードを踏襲した「天下統一戦記」を主とし、北海道を除く日本全国を15の国に分割し、隣接する国の中から侵攻対象を選択して合戦に勝つと対象国を支配できる。すべての国を支配するとゲームクリアになるというシステム。対決する相手によっては「クロニクルステージ」が発生し、第一作から最新作までの名場面を再現するというゲーム内容。
 ゲームシステムの基盤は「戦国BASARA バトルヒーローズ」のそれを流用(データ引き継ぎあり)。ボイスやステージはすべて過去作のものを使い回している。

「戦国BASARAシリーズの歴史を追う」という意味では「クロニクル(年代記)」は矛盾を含んでいないが、気になるのは開発期間の異様なまでの短さである。小林氏の発言から推測するに、おそらく2010年12月頃に開発が決定したものと思われるが、その時点ではタイトル以外決まっていなかったのに、半年後に発売するという非常にタイトなスケジュールである。
 実際、「クロニクルヒーローズ」の内容には目新しいものがなかったため、開発期間やリソースはそれほど必要なかったと考えられるが、「戦国無双 Chronicle」の発売が1ヵ月半後に迫った時期に「クロニクルヒーローズ」というタイトルのみを持ち出して発表したのが、やや気になる点ではある。
 極端に言ってしまえば、「戦国+クロニクル」というタイトルの重複を狙って発表し、中身をタイトルに合わせて後から作るという自転車操業的なことをやってのけたのではないかという疑念が湧いてくるのである

3DS「戦国無双 Chronicle」
3DS「戦国無双 Chronicle」
PSP「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」
PSP「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」

※ なお、2011年3月10日発売のPS3「真・三國無双6」でも、「クロニクルモード」と称するゲームモードがある。
 これは中国大陸を215個のマス目に分割し、隣接するマス目の中から自由に選択することで様々な種類の戦闘が発生するというもの。ステージクリアすると、選択可能なマス目が更に増える。ストーリーモードに入れられなかった武将たちの列伝ステージがメインになるため、「クロニクル(年代記)」としたものか。
 先に発売されていたPSP「真・三國無双 MULTI RAID」のステージ進行とよく似ているので、それをアレンジしたものと思われる。
 PSP「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」の天下統一戦記とクロニクルステージの関係によく似ているが、「真・三國無双6」のクロニクルモードの情報の初出は2011年2月10日。「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」の天下統一戦記・クロニクルステージの情報の初出は2011年6月23日である。

PS3「真・三國無双6」クロニクルモード
PS3「真・三國無双6」クロニクルモード
PSP「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」天下統一戦記
PSP「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」天下統一戦記