総括
■女性向けのメディアミックス展開
戦国BASARAシリーズの特徴としては、特に女性向けのメディアミックス展開が頻繁に行われることが挙げられる。
この点では無双シリーズと一線を画している。
戦国BASARAシリーズの知名度が本家無双シリーズと比して高いのはこのためだ。そして、知名度に比してゲーム性の独自進化が見られないことが、今日の両シリーズの混乱を招いていると断言してもよいだろう。
女性向けのメディアミックス展開と述べたが、どうも戦国BASARAシリーズの商業展開は無双シリーズ関連というよりは、同じコーエーから発売されている女性向け恋愛ゲームジャンル(ネオロマンスゲーム)と酷似しているようである。悪名高いコーエー商法は、無双シリーズよりもむしろネオロマンスシリーズにおいて顕著であると言ってよい。
メディア | ネオロマンスシリーズ | 戦国BASARAシリーズ |
ゲームソフト | ○ | ○ |
海外進出 | ○ | ○ |
追加ディスク | ○ | ○ |
画集 | ○ | ○ |
雑誌形式のオフィシャルファンブック | ○ | ○ |
台詞集 | ○ | ○ |
サウンドトラック | ○ | ○ |
ゲーム以外のメディア展開 |
小説 | ○ | ○ |
公式コミカライズ | ○ | ○ |
4コマアンソロジーコミック | ○ | ○ |
テレビアニメ | ○ | ○ |
劇場版アニメ | ○ | ○ |
ドラマCD | ○ | ○ |
キャラクターソング | ○ | × ※1 |
インターネットラジオ | ○ | ○ |
ソーシャルゲーム | ○ | ○ |
各種グッズ | ○ | ○ |
声優イベント | ○ | ○ |
オフィシャルツアー | ○ | ○ |
舞台 | ○ | ○ |
キャラクター人気投票 | × | ○ |
実写ドラマ | × | ○ |
※1:お市の担当声優・能登麻美子氏がボーカルを担当したゲーム挿入歌はあるが、キャラクター名ではなく声優名による販売であり、曲単体での販売はされなかったのでキャラクターソング商法として数えなかった。
事実、戦国BASARAシリーズに関して開催された声優イベント、舞台、オフィシャルツアーの参加者はほとんどが女性である。
「無双は男性向け、BASARAは女性向け」といった漠然としたジャンル分けがされることがしばしばあるが、ゲーム内容としては難易度以外に両者に大きな違いはない。ゲーム内容よりもこれらの商業展開※2が“女性向け”として語られる所以であろう。
※2:とはいえ、無双シリーズに関する商業展開が女性向けに移行しつつあるのも確かである。2009年秋以降、戦国無双シリーズではドラマCDやキャラクターソング集が続々と発売されており、声優イベントも開催された。