総括
■両シリーズを遊んだことのない人へ:戦国アクションゲームの選び方
ここまで書くと全体的に戦国BASARAシリーズを批判しているようだが、同シリーズを購入することを否定しているわけではない。システム面の多くが差別化されておらず後発のBASARAに関わったスタッフの想像力や開発力に疑問を呈しているのみであり、キャラクター・ストーリー・グラフィック・音楽等にはそれぞれの好みがあろう。例えば無双シリーズにもBASARAシリーズにも真田幸村はいるが、BASARAの幸村を好きになった人が必ずしも無双の幸村を好きになるわけではない。
以下、これまで検証してきたことをもとに、戦国アクションゲームについて知識のない人が戦国無双シリーズと戦国BASARAシリーズのどちらを買うべきか、簡単に基準を挙げようと思う。筆者の主観を排せていないかもしれないが、ご容赦願いたい。
(1)公式サイトを確認する
まずは手っ取り早く見た目をチェックする。プレイ動画やプロモーションビデオも確認できる。
ゲーム内容が大して変わらない以上、グラフィックや音楽・キャラクター・出演声優の好みがあればそれで決めてしまっても構わない。
(2)難易度を比較する
両シリーズとも難易度は他のアクションゲームと比較するとかなり低く、いくつかのボタンを連打すれば勝てる仕組みになっている。
ただし、戦国無双シリーズはマップが広く入り組んでいるため、自分がマップ上のどこにいるのか確認できない人には難しい。操作中のキャラクター以外にも、味方総大将が敗北しないように気をつける必要がある。他、「○○を撃破せよ」「××へ向かえ」などミッションによって細かく指示されるので、人によってはうるさく感じられるだろう。
戦国BASARAシリーズは戦国無双シリーズよりも更に難易度が低い。ほぼ一本道に沿って移動し出てきた敵を倒していけばよい。操作中のキャラクター以外の武将が敗北してもゲームオーバーにならない。地図を読んだり他人の状態に気を配ったりする余裕がない、あるいはただ漫然と敵を倒していきたいという人はBASARAシリーズを選ぶのがよい。
(3)世界観を比較する
戦国無双シリーズではIF設定もあるが、ストーリーの基本的な流れと背景設定は史実に沿っている。プレイアブルキャラクター化されていない武将はモブとして扱われるがきちんと登場することが多い(上田城の戦いではモブ武将だが真田昌幸が真田軍側の総大将として登場するなど)。
戦国BASARAシリーズは、史実を完全に無視。複数あるステージのいずれかをプレイヤーが選択、そこを本拠地としている武将と戦うという流れなので、ストーリー性は特にない。「真田幸村と徳川家康という名のついた武将が上田城という場所で戦っている」という程度であり、戦国武将と戦場の名前を使う必然性が見られない。また、プレイアブルキャラクター化されていない武将も無視される傾向にある(例えば、真田昌幸や信之はいないことにされているなど)。
戦国時代や武将に対する一定のイメージを持っている人は、無双シリーズを選ぶのが無難だろう(もちろん、無双シリーズのストーリーやキャラクター性が必ずしも史実を反映しているというわけではないが)。BASARAシリーズの登場人物には、歴史上の人物との近似性を期待してはならない。
(4)プレイヤー以外の武将の動き
端的に言ってしまえば、無双ではプレイヤー以外の武将も勝手に戦況を把握して進軍するが、BASARAはしない。
無双シリーズでは味方軍の士気さえ高ければ、プレイヤーが見ていなくても味方武将もどんどん敵武将を撃破していく。プレイヤー武将が戦っていてピンチになっていたところに、後からやってきた味方武将が助けてくれるということも時々発生する。もっと言ってしまえば敵武将へのとどめを他の味方武将に持っていかれてしまうこともあるのだが、こういった共闘感は、BASARAには存在しない。
(5)その他
BASARAシリーズでは戦闘時のエフェクトが強めにかけられているため、人によっては酔ったり目が痛くなったりする。画面酔いしやすい人は大きめの画面でプレイ動画をチェックすることで購入の判断の一助とするとよいだろう。