キャラクター

■勢力ごとの人選:織田軍


 両シリーズでは、ともに織田信長・濃姫・森蘭丸が織田軍としてくくられている
 明智光秀・羽柴(豊臣)秀吉・前田利家は織田軍から独立し「明智軍」「羽柴(豊臣)軍」「前田軍」として扱われるので省いたが、この人選も重複していることを明記しておく。

 戦国時代を舞台にしたゲームにおいて、最も有名な戦国武将である織田信長がプレイヤーキャラクターとして存在するのは必然であろうが、その周囲を固める武将――濃姫・森蘭丸――の人選が両シリーズで重複しているのは奇妙である。
 先述した武田家同様、史実の織田家は数々の優秀な配下を有しており、一見したところ、わざわざ女性キャラクターと少年キャラクターを選出する必然性が見られないからである。

 濃姫は美しく聡明な信長の正室であったというが、信長に嫁いだ後の記録がほとんど残っておらず、没年すら不明である。信長の妹のお市の方ほどの知名度はないマイナーな人物というのが実情だ。
 蘭丸は本能寺の変で信長を守ろうと奮戦し若くして討死したことが有名だが、実際に信長の小姓として活躍していた時期は短く、目立った活躍はない。
 しかし、戦国無双シリーズ、特に第一作「戦国無双」は本能寺の変がテーマになっているため、織田信長周辺の人物を多くキャラクターとして起用している。
「戦国無双」で濃姫と森蘭丸がキャラクターとなったのは、「本能寺枠」(本能寺の変を盛り上げるためのキャラ)、またアクションゲームに必須なキャラクター性「女性キャラ枠」「美少年キャラ枠」を付加するためだろう。
(ただし、戦国無双シリーズのスタッフの立場からすると、本能寺枠として採用したこの二人のキャラクターは、史実に沿ったストーリーを作りにくいようである。シリーズが新しくなるにつれ、濃姫と蘭丸はストーリーがつかない模擬演武専用キャラクターになることもある)

 では戦国BASARAシリーズではどうか。
 BASARAシリーズ、特に第一作「戦国BASARA」では、武将の活躍年代に関係なく、比較的知名度の高い武将をキャラクターとして選出しているという特徴がある(長曾我部元親と毛利元就が瀬戸内海を挟んだ好敵手として設定されているのがよい例だ)。
 コーエーと比べればスタッフの歴史に関する知識にも限界があるだろうに、知名度の低い濃姫や戦歴の乏しい蘭丸を採用し、少ないキャラクターの中でわざわざ戦国無双シリーズと同じ人物をキャラクター化してしまったのはなぜか、そこに「戦国無双に準じるような女性キャラ枠・美少年キャラ枠が欲しかった」という以外に合理的な判断があるとは思われない

【各キャラクター設定の重複まとめ】
 織田信長 / 濃姫